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Channel: エナフンさんの梨の木
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経常収支はプラスなわけだから

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消費者物価指数は、消費税増税の影響を除くと1%しか上昇していません。


1ドルは80円付近から120円付近まで50%も上昇している訳ですから、

もっと、物価が上がって良さそうなものですが、どうなっているのでしょう?


日本のGDPは500兆円前後であり、輸入総額は80兆円くらいありますから、

その80兆円の部分が円ベースで50%も増えれば

物価なんてすぐ上がりそうなもんなんですけど、そうでもないんですね。


念の為、財務省貿易統計から過去63年の貿易収支グラフを見ますと、




リーマンショック直後50兆円まで落ち込んでいた輸出入が

再び80兆円付近まで伸びています。


良く言われるようにリーマンショック以降、

「国内製造を海外製造に移転された為、以前ほどは円安のメリットは出にくい」ようですが

その規模は、グラフから見る限りでは10兆円くらいと言えるのでしょうか?


(当時は世界景気が絶好調だったのに対し

今はそうでもありませんから、もう少し小さい値かも知れません。)


それにしてもこの50年ほどで貿易額というのはずいぶん伸びたんですね・・・。


また、このグラフを見ると震災以降貿易赤字が増え始めており、

危機的な雰囲気が漂います。


が、実際は利息や配当といった金融収支が大きいので、

日本は経常黒字国となっています。


以下、財務省国際収支のデータを加工したもの。



四半期ごとの数字を並べてみました。単位は億円。

第一次所得収支というのが、利子や配当による収支です。

(※実際はこれにサービス収支などが加わるのでこの差が経常収支とはならない)


これを見ると、震災以降も利子配当の収入が

貿易赤字を安定的に上回っていることが分かります。


また、消費税の駆け込みで昨年度後半は赤字が膨らみましたが、

本年度に入って(2014年2以降)貿易赤字も減っています。


念の為、今年に入ってからの各月の貿易収支を調べると

以下の通りとなっています。(単位は兆円)




最近、「ここへきて輸出が伸び始めている」という記事を読みましたが、

確かにそんな風にも見えますがハッキリとしたトレンドとまでは言えませんね。

後2カ月くらい伸びたら本物でしょう・・・。



さて、話を元に戻しますと、

円安になって輸入品の価格が騰がったからと言って、

そのまま消費者物価には反映されないのは、

もちろん、国内での流通コストや加工コストが抑えられたというのもあるでしょう。


輸入産業で利益が失われた分、物価は抑えられているのです。


GDP500兆円に対して、80兆円の輸入ですから、

GDP側である程度は調整できるということでしょう。


また、従来の輸入品が国内製品に切り替わったり、

それを避けるために輸入品も価格を押さえて国内製品との競争に勝とうとしますから、

1ドルが50%値上がりしたから、

そのまま、輸入品の価格も50%騰がるというものでもないのでしょう。


ここへきて、資源価格が下落しているのも大きい。



ただ、よくよく考えてみると、

そんなに所得が増えていないのに、

消費だけ増やすわけにも行きませんから


家計の支出の総額が増えない中で、

物価だけが騰がるという話ではないのかもしれません。


特に消費税増税の影響で、

実感としてはずいぶん物価が騰がったと感じているため

財布の紐がしまり、その分、思ったほどインフレが進んでいないと言えるでしょう。



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