株式投資の世界では、
ずいぶん以前から妙な対立が存在し、
不毛な議論が続いています。
その一つが、パッシブ投資vsアクティブ投資の議論です。
パッシブ投資というのは、市場に平均的に資金を投入することで、
市場の平均的なリターンを期待する投資法です。
その論理的根拠は「効率的市場仮説」と呼ばれるもので、
非常に多くの参加者が目を皿のように儲けの種を探しているような市場では、
儲けのタネは瞬時に解消されるため、
自分だけ「市場に勝つことはできない」という考え方です。
彼らは、もし、仮に市場に大きく勝っている人がいたとしても、
それは、たまたまラッキーに見舞われたか、
アドレナリンを大量放出して、リスクを取りすぎた連中に過ぎない。
と考えます。(実際、そういう側面も否定はできない。)
一方で、アクティブ投資家の代表格の一人が「ピーター・リンチ」のような投資家で、
(つまりこのブログはアクティブ投資家グループに属する)
市場には、人々の心理的な歪みや
(市場に大きな影響力を持っている)機関投資家ならではの組織的・制度的な歪みが存在し、
さらには、人それぞれが持ち合わせている専門的な知識にも格差がある為、
あなたの持っている専門性を最大限活かしながら、
市場の歪みを利用した投資を実行すれば、
市場の平均よりも高いリターンが狙える、
と考える投資スタイルです。
実際、アクティブ投資と一言で言っても
それぞれが持つ専門的知識には個性や格差がある為、
その種類は多種多様です。
そんな多種多様な投資家が存在するから、
結果的に市場は効率的となり、
パッシブ投資家に市場の平均的なリターンを提供するわけですから、
パッシブ投資家がアクティブ投資家を非難するのはいささか筋違いな話です。
ところが、そんなパッシブ投資家がアクティブ投資家を批判したくなるのはなぜでしょうか?
これについては、おそらく多くのアクティブ投資家がパッシブ投資家の事を
「一生大した金持ちにはなれない連中」
と小馬鹿にしているところに起因していると思われます。
確かに期待リターン5%程度では、
資産を倍に膨らませるのに15年もかかってしまいますから、
人もうらやむような大金持ちになるのには少々無理があるように見えます。
ところが、年収がそれなりにある人が
コツコツと毎月10万円ずつこの投資に資金を回せるのであれば、
30年後にはその期待総額は8500万円にもなりますから、
これはこれで侮れない投資法なのです。
その部分を認めずに勝ち組は2割と言われる熾烈な世界で、
悪銭苦闘しているアクティブ投資家を指さして
「億万長者を夢見て、勝ち目の薄い勝負に時間とカネを費やす愚か者連中」
呼ばわりしたくなるパッシブ投資家も現れるわけです。
こうなってくると、
バブル崩壊と円高・デフレを同時に喰らった「失われた20年」を持ち出して
「じゃあ、過去20年間どこにどう投資すれば、年率5%のリターンを手に入れられたのか?」
とか、
「バブルの頂点でも、リーマンショック後の大底でも、市場は効率的だったと言えるのか?」
みたいな不毛な議論が続くことになるのでしょう。
でっ、あんたの結論はどうなのかって?
効率的市場仮説の考え方は概ね正しく、
アクティブ投資家として勝ち続けるのは容易ではない。
ただ、彼らのいう数少ない「まぐれ」や「ラッキー」に現に出会ったときに、
ちゃんと対応できる嗅覚や力量を磨いておけば、
そのラッキー分だけ平均を越えるリターンを手に入れることができる。
私の経験上、「まぐれ」や「ラッキー」は決して瞬時に消えたりはしない。
滅多にお目にかかれないが、
全くお目にかかれないという存在でも無い。
ラッキーのタネは、しばらくの間、
誰もが見えるところをウロウロしている・・・。
チャンスは誰もに与えられている。
にも関わらず、様々な雑音や心理的な障壁が、
人々を見えていないのと同じ状態にしてしまう。
そんな中にあって、
「あっ、これがラッキーのタネだ」
と一人気付いてそれを拾い上げる嗅覚と勇気と準備を持ち合わせている人だけが
その「ラッキーのタネ」を手にする事ができる。
そして、その「ラッキーのタネ」が芽を吹き、花を咲かせ、
実をつけるまで待ち続けらる忍耐力を持ち合わせた時、
一般的に考えられているような常識を遥かに超えた
数倍、数十倍という大きな追加リターンを手にする事ができる。
まだ修行が足りませんが、こんなイメージですかね・・・。
「裸の王様」に「あの人は裸だ」といえる感覚
+
「梨の木を植えて、その実がなるまで待つ」忍耐力
といったところでしょうか?
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