それでは景気に連動して業績が動く循環株(シクリカルとか景気敏感株とも言う)の
本質的価値はどうなっているのでしょうか?
ファンダメンタリストは次のように考えます。
その本質的価値は、
長期的な1株利益の平均値(上図、ブルーのライン付近)を
(金利 + リスクプレミアム)で割り返したものと考えます。
当然、景気が絶好調の時が売り時で、
(以下の図では金利+リスクプレミアム分は省略)
景気が最悪の時が買い時となります。
ただし、景気が最悪で1株利益がほとんど0あるいは赤字になるような時は
1株利益ではなく解散価値から、株価は決まってきます。
収益価値>解散価値
株価 = 近未来の1株利益 / (金利 +リスクプレミアム)
収益価値<解散価値
株価 =解散価値
前回記事で解散価値が株主の手元に入ることはありえないと書きましたが、
それでも何かしら近未来の1株利益以外で企業価値を評価しないと、
企業価値が0とかマイナスになってしまっておかしくなりますので、
収益があまりに小さくなると、
株価=解散価値という評価の仕方をマーケットはするのです。
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通常、PERが低いことはよいことであると思われているが、
循環株の場合は例外だ。循環株のPERが低いときは
たいてい好景気の末期であることを示している。
(中略)
反対にPERが高いとき、これは通常悪いこととされているが、
循環株の買い時であろう。
~「ピーターリンチの株式投資の法則」P260 ダイヤモンド社
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ピーターリンチを読んでも初心者の方はピンときませんね。
けど、短い文章で見事に真実をついています。
確かにPERが高い時が買い時なんですね。
では、PERが低い時が好景気の末期というのはどういうことでしょう。
景気の天井付近では、既に景気の悪化を株価は織り込み始めます。
「近未来の」1株利益をマーケットは追いかけて行きますからね・・・。
この時、「今」時点の1株利益からみた「近未来の」1株利益が低下する為、
PERは小さな値を示します。
(下手をするとこの時点でも、企業の予想収益は昨年比+20%だったりするので、
予想PERは8倍みたいなことになっているかもしれない。)
けど、だから、安いとは言えないんですね。
その時点でも本質的価値を大きく越えているわけですから・・・。
景気が悪化し始めると、一気に業績も株価も下落し続け、
下手すると、解散価値付近まで、
良く言われるように半値八掛け二割引き付近まで
財産を減らすことになるかもしれません。
ただし、景気の天井を言い当てるのは至難の業です。
(景気の底を言い当てるのも同様である)
そこで、賢明な投資家はまだ景気が天井を打つ前に、
早々と売り抜けてしまうのです。
最後まで循環株に執着しているのは短期トレーダーと素人だけです。
次第に株価は荒っぽい動きを示し、
遂には激しく落ちて行くことになるのです。
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