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Channel: エナフンさんの梨の木
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中山鋼株とゲームストップ

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近藤は紡績会社の社長であって、稀代の相場師という二つの顔を併せ持つ。(中略)

初め、糸山英太郎の買いに、売り将軍・近藤が立ちはだかった。窮地に陥った糸山は縁戚の笹川良一や父、佐々木真太郎を口説いて連合軍を結成、買い占めを図る。(中略)

 

1971年(昭和46年)9月、笹川グループは中山鋼株の25%を買い占め、75%は中山一族が握ったままで市場の浮動株は底をついた。180万株にのぼる近藤のカラ玉は格好の標的となった。1972年(同47年)1月には株価は2千円を突破。近藤は多い日には1日1千万円の逆日歩を現金で払った。近藤はとうとう溶合を申し込んだ。(中略)

近藤の損は約40億円に及んだ。

~日本相場師列伝~

 

 

今から50年前の日本の出来事です。当時の仕手株って、こういうレベルだったんですね。当時の大物著名人が空売りと買い占めでガチ勝負をしていたわけです。

けど、近藤さん、ちょっと相手が悪かったですね。まだ糸山英太郎氏が若かった頃なので舐めてたらしいのですが、裏に右翼のドンがつかれたんじゃあ、たまらんです。大敗北ですね。

もちろん、こうなったら、中山鋼のファンダメンタルズがどうのこうのという話ではありません。食うか食われるかの真剣勝負です。

相場師列伝を読んでいると、この手の話が次々と出てきます。何の規制も無い世界では、相場って、終局的にはこうなるものなのでしょう。

 

さて、米国ゲームストップ株の異常事態ってこの類の話ですよね。

 

 

ただ、当時の日本と違うのは、SNSや掲示板で集まった素人集団VS空売りを得意とするプロ集団で、しかも今のところ、素人集団が勝ち続けているということです。昨日の日経新聞夕刊によれば、格差社会の象徴であるヘッジファンドを攻撃の対象とすることで、個人の同意を得やすく、これほどまでに常軌を逸した現象が発生しているとのことです。

 

ここまで極端ではありませんが、日本でもこれに近いことは起こりうるし、現に小さいレベルで起こっています。プロの空売りをターゲットに買いが勢いを増すということはよくあることです。(もっとも、私はそういうのにはあまり興味がありません。空売りが頑張ってくれたら、一緒になって底値を拾うという発想です。相場に逆らうのではなく、相場に合わせて長期的に利を乗せるのが私の投資スタイルです。)

 

米国バブルの象徴のような出来事ですが、相場の本質を突いた革命的な動きのようにも感じます。世界中でこういう動きが流行りだしたら、当局はどうやって止めるのか?仮に止めるとして、何を正義の根拠とするのか?

 

とても興味があります。

 

 

 


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